大阪高等裁判所 昭和24年(を)2062号 判決
被告人
武内好一
外二名
主文
原判決を破棄する。
本件を和歌山地方裁判所に移送する。
理由
被告人山本勇市、向井周平の弁護人河合与の控訴趣意第一点の二について、
原判決挙示の住山留五郎の検察官に対する第一回供述調書(昭和二十四年二月十九日附)が同人に対する常習賭博被疑事件の供述調書であり、従つて本件の証拠としては証拠物であるから、その証拠調は刑事訴訟法第三百六条第三百七条によつてこれを示しかつ朗読する方法によらなければならないこと所論のとおりである。しかるに、原審公判調書によると、単に朗読の方法によつたに過ぎないから適法の証拠調を経ない証拠といわねばならない結果原審はこれを他の証拠と綜合して事実を認定した違法がある。論旨は理由がある。